大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(う)2655号 判決

被告人 海老沼利典

〔抄 録〕

そこで調査すると、記録によれば、杉戸警察署司法警察員荻野好美らは、被告人に対する恐喝未遂被疑事件につき越谷簡易裁判所裁判官が発した逮捕状及び捜索差押許可状を持って、昭和四九年一月一七日午前七時すぎごろ被告人の肩書住居におもむき、被告人を逮捕し、引続き右居宅内を右令状により捜索したこと、その捜索の目的は恐喝未遂被疑事件に関するメモ、示談書、金銭出納帳などの発見差押にあったこと、右捜索に際し右住居内にあった被告人のコートのポケットから原判決証拠欄掲記の覚せい剤粉末が注射器などと共に発見され、また寝室から原判示あいくち(領置調書の表示は「小刀」)一振が発見されたので、捜索に立ち会った被告人の内妻西山和代にこれらを任意提出させ、司法警察員野口州男がこれらを領置したことが認められるが、所論のように右の捜索が、恐喝未遂被疑事件に関する証拠物の存在する蓋然性がないにもかかわらず、何らかの法禁物が発見されるであろうとの見込があったため、これを発見する目的で行なわれたものであることは、認めることができない。そして、前記事実によれば、恐喝未遂被疑事件の証拠物を発見するためコートのポケットの中など細部まで捜索する必要があったことが認められるから、右捜索に違法な点はない。また、記録及び当審における事実取調の結果によれば、西山和代は昭和四八年八月ごろから被告人と同居し、生計をともにしている被告人の内縁の妻であることが認められるから、被告人の不在中はその居宅内にある物の保管を任されていたものと推認すべきであり、したがって刑事訴訟法二二一条に定める任意提出の資格のある保管者にあたると解すべきである。そして、右覚せい剤、あいくちなどは、同女の任意提出書二通のほか、これらを差し出す旨の上申書により任意に提出されたものと認めるべきであり、所論のように提出者に拒否権を告げなければならないものとは解されない。以上によれば、右の領置手続にも違法な点は存しない。更に、原判決が証拠として掲げる右各領置物に関する西山和代の上申書、阿部孟郎の検査書、司法警察員の領置調書二通にも所論の違法は認められない。したがって、前記覚せい剤粉末及びあいくち一振並びに右各書面はいずれも証拠能力に欠けるものではなく、かつ、これらは原審公判廷において適法に取り調べられたものであることが認められるから、原判決がこれらを証拠として採用したことについて、何ら所論のような違法はない。論旨は理由がない。

(田原 小野 小泉)

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